アタッチメント
猫を飼っていると、「くっつくことの効用」を実感します。
猫は、ベッタリくっついてくることもあれば、足先や尻尾などほんの一部分ちょっとだけ引っ付いているときもあります。
猫自身が寒いとき、淋しいとき、甘えたいとき、安心したいとき。
人間の方が悲しんでいるとき、辛いとき。
外出から戻ると、たかぶったり落ち込んだりしたエネルギーをアースしてくれるかのようにくっついてきます。
互いが同じくらいの落ち着き度になると、満足したように、そして役目を終えたようにスッと離れていきます。
猫は気まぐれと言われたりしますが、敏感で正直、必要以上の無理も忖度もしないのだと思います。
以前は「スキンシップ」が大切なんて言いましたが、最近では「アタッチメント」という言葉が使われるようになりました。
アタッチとは、接続する・取り付ける・付属するのような意味。
掃除機に取り付けて色々と形の違う吸い方をする付属品のように、何かと何かを接続する部品をアタッチメントと言いますね。
心理学的「アタッチメント」は、愛情・愛着を意味します。
子どもの発達段階では、守り育ててくれている人との情緒的な結びつきのこと。
その中で、人格やコミュニケーションの癖が作られていきます。
スキンシップのように、肌の接触だけに限らないところが違いますね。
子どもだけでなく、何歳でも、誰とでも、精神的でも、アタッチメントは大切です。
生きものには、「くっついて安心したい」という生まれながらの欲求があります。
アタッチメントは、ネガティブな気持ちを和らげてくれます。
子どもが抱っこをせがんだり、恋人に抱きしめてもらったり、友人と電話したり・・・。
そうやって安心感を得ると、また外の世界を探索しに行くことができる。
何かあったときに戻れるところ(人)があるって、本当に有難いことです。
この頃は、ベタベタしない子育てを好まれる方もあるそうで、こんな話を聴きました。
赤ちゃんが泣いても抱き上げない、オムツも性能がいいから頻繁には交換しない。
そこにアタッチメントはあるのだろうか、どんな風に心が育つのだろうかと心配になります。
レイチェル・カーソンの著作『センス・オブ・ワンダー』を思い出しました。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー(神秘さや不思議さに目を見はる感性)」を授けてほしいとたのむでしょう。
大人も子どもも誰にとっても、1人でもいいから、アタッチメントの基地になれる人が居てくれたらと願います。
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