達人

すみません、少し毒を吐きます。

このところ認知力が落ちてきた父に付き添って、初めて受診するドクターとお話しました。

こちらから何も言っていないのに、

「薬を飲んだ方がいいでしょうが、これは医者からは強制できないんですよ。薬を極端に嫌がられる方もおられるので。寝たきりになりたくな・け・れ・ば!ですけど。どうされますか?私なら飲みます、家族なら飲ませます、どうされますか〜?」

日常の返答もままならないことが増えた父に詰め寄るような訊き方で、なんとも嫌な気持ちで帰って来ました。

数日モヤモヤしていたのですが、もしかしたらあの先生も、色々な患者さんや家族から辟易する程色んなことを言われるうちに、あんな言い回しをされるようになったのかもしれないなぁ…と。


治療家にとっては極普通の話でも、患者や家族にとっては不吉なまじないのように感じることがあります。

患者を思って仰っていたとしても、

「この薬を飲まないと(私の治療に通い続けないと)あなたはダメになりますよ。」

そんな気持ちにさせるのは…ちょっとね。

どうしたら事の重大さが伝わるのか、どうしたら服薬やセルフケアを続けようという心持ちになってもらえるのか。

伝える側も受け取り方も皆んな違うので、難しいです。



『明鏡止水』というテレビ番組があります。

いくつかの武道の達人を迎えて、秘伝の技を見せ合ったり語り合ったりするのですが、合気道・柔道・柔術の回で大師匠がこんなことを仰っていました。

「自分を鍛えないと、単なる凶器になってしまう。勝ち負けを求めながら、心を鍛えなくてはならないと思っている。」

武道一筋に、80歳を越えてもその姿勢でいらっしゃる。


実戦から生まれ受け継がれてきた武道では、相手を圧倒して勝たなければならない場面があります。

でも、技を伝承し、互いに成長することを思うと、マウントをとってばかりでは無いはずです。


私たちの日常、知識も同じだなと思いました。

時々、相手の理解度を越えて、自分が獲得した知識を撃ちまくる人に会います。

一方、わかりやすい言葉で、受け取りやすい話し方で、伝えようとしてくださる方もおられます。

そういうお話を聴くと、この方は本当に頭がいいのだなぁと尊敬の念が湧きます。

コミュニケーションに手を抜かれない姿勢に、頭が下がります。



「自分を鍛えないと、単なる凶器になってしまう。」

「時代が変わっても、理念や魂は変わらない。」

達人の言葉はずっしり響きます。

今日もほんわか

~心と体のほんわか手当て~ ケアサロン ほんわか 堤文子ブログ

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