④病気のご褒美
入院前、手術を経験したことがある方から、
「3日頑張って!3日我慢すれば楽になるからね。」
と聴いていました。
言われた通り本当に、3日過ぎた頃から随分楽になりました。
とはいえ、寝返りもうてない、寝起きも頭を手で支えつつ。
上を向けないので、飲みものはストローで、うがいも目薬も厳しい。
今回私は首でしたが、動かせなくなって初めて、こんなに使って暮らしているのだなぁと実感するものですね。
でも、日に日に出来ることが増えていくのは楽しみでした。
動けるようになってからは「お散歩の勧め」が処方され、体力づくりのためせっせと歩きました。
病院食はローカロリーながらとても美味しくて、こんなに食材何もかもが高騰している中、スタッフの皆さんのご尽力に頭が下がりました。
きちんと食べて、運動して、瞑想して、メンテナンスして…、自分の回復だけに専念する日々はまさにリトリート。
有り難い環境でした。
お陰さまでほぼ見込み通り退院でき、その後もおおむね順調です。
退院数日後、点滴痕が突然内出血して血管痛を起こしたりしたので、動き過ぎないように目印だなと思って気をつけています。
それにしても、切羽詰まった状況にあると、普段経験しないことや気付かないミラクルに遭遇します。
前回書いたセルフケアも、普段なら自分には発動しないレベルでパワーを発揮しました。
術後4~5日目のこと。
自宅から、父の風邪がぶり返していよいよ介護状態に入ったとの連絡がありました。
こんなに痛くて動けないのに、退院して介護をしながら仕事なんか出来るのか…。
不安で苦しくなっていたら、なんと同室の方が介護の学校の先生で、ご主人は我が家の近くでケアマネジャーをなさっているという奇跡!
「大丈夫、大丈夫〜。いろんな制度があるんだから、心配しなくていいですよー。」
と仰っていただいて、本当に救われました。
このご縁、退院してから父や家のことで、お世話になることになります。
一番驚かされたのは、入院のこの機会にスマホのデータ整理でもしようかとしたとき。
写真データを開くと、バンドでも病院勤めでもお世話になり、一昨年脳腫瘍で亡くなった先生の写真が突然ポンと上がってきました。
録音データを古い方から…と思って遡っていくと、5年前に胃ガンで亡くなったケアの師匠の講義録音に行きつきました。
お2人の存在と応援を強く感じて、
「ガンのその先を生きて楽しんでおいで。」
と言われているようで涙が出ました。
世界は繋がっているのだな、必要な縁にはちゃんと恵まれるのだな、心配しなくていいんだなと、ありありと感じました。
今回で手術シリーズは終わりです。
ブログへのお付き合いも、お見舞いや退院祝いのお言葉や頂きものも、本当に本当にありがとうございました。
病気は、
「あなたが大切。大好き。ありがとう。」
を表現し合える機会でもあるのですね。
入院中も、退院後環境を変え整えたケア部屋を見渡してみても、
「あの方に頂いた◯◯」
「あの方の教えの◯◯」
「お見舞いで買わせて頂いた◯◯」
そんなことばかりで、私はみんなで出来ているのだなぁとつくづく思います。
私もこうして誰かの一部になって、助けや支えになれているだろうか。
なっていけたら嬉しいです。
病気に限らず、出遭うことも過ごし方も皆さんそれぞれでしょう。
お話できるのはアドバイスではなく経験談でしかない気がします。
簡単にいかないことも辛い結果も時間が必要なこともいろいろあるけれど、振り返ってみて
「ご褒美に溢れているなぁ。」
と思えたら素敵だなと願います。
感謝をこめて。
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