かなしみ
私は施術を背中から始めます。
うつ伏せになってもらって、肩甲骨の間辺りに触れて心の中でご挨拶をします。
人が人に体を触らせるというのは、互いと取り巻くものの合意とお許しがあってこその特別なことだと思います。
だから、不用意に肩を揉んでくる人は苦手。
ただの会話より、触れることで多くのエネルギー交流が生まれる訳で、時に相手の負も流れ込んでくる訳で、さらけ出したくないこともバレたりする訳で。
親愛の表現だったとしても、肩揉みは首を絞める行為のすぐそばにあります。
触れるのも触れられるのも、敷居の高さは人それぞれでしょうが、それなりの覚悟と礼儀がいるんじゃないかしらと思っています。
先日のケアでクライアントさんの背中に触れた瞬間、かなしみが流れ込んできました。
大切な方を少し前に亡くされたことはお聴きしていたので、私の勝手な思いもあったかもしれません。
悲しみなのか、哀しみなのか、愛しみなのか…。
ご自身に自覚があったのか無かったのかもわかりません。
でもたぶん、ご本人が思う以上に我慢されているように感じました。
肋骨周りを緩め、背中をさすり、全身を整えていくうちに、子どものようにグッスリ眠りに落ちていかれました。
こういうときいつも、心や体に不調をきたす前に手当てできて良かったと思います。
その夜、何でもないテレビをつけていたら、いきなり涙が溢れて止まらなくなりました。
あぁ、これはあの方の涙だなぁと思いました。
しばらく涙が流れるのに任せていたら、あとはスッキリ。
泣けるって大切ですね。
固まっていたものが揺さぶられて崩れるように、流れ抜けていきます。
すると、ニュートラルに戻りやすくなります。
施術や触れるお仕事でなくても、人や情報と接して暮らしていれば、様々な感情やエネルギーを貰ってしまうことがあります。
ときには涙活どうですか?
自覚のないモヤモヤが流れて、楽になるかもしれませんよ。
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