エントレインメント(共鳴動作)

前回の「リズムが人を引き込む力」の続きです。

エントレインメントという言葉を聞いたことがありますか?

単語としては、引きずること、引っ張っていくこと、取り込み現象などを意味します。

気象で言うと、上昇気流によって周囲の空気が巻き込まれる現象。

生物が同調すること、シンクロと似たような意味になります。


お話ししたいのは、赤ちゃん(人)のエントレインメント(共鳴動作)について。

お母さんが愛情たっぷりに語りかけると、赤ちゃんはそれに答えるように手足を動かしたり笑ったりします。

お母さんが悲しそうな表情をすると、赤ちゃんも悲しそうな表情をします。

赤ちゃんの行動が親の行動によって引き出されるのです。

面白いのは、親の行動も赤ちゃんによって引き出されていくというところ。

このように行動や言葉がシンクロしていく現象が、エントレインメントです。

コミュニケーションの力が育まれるのに大切なことですね。


余談ですが、これを営業や恋愛のスキルとして使う方もおられるようです。

同じタイミングで頷く、お茶を飲む、髪をかき上げる…。

リズムのシンクロが共鳴に変わり、打ち解けやすいのだとか。


実は、お母さんと赤ちゃんがシンクロするのは、行動や言葉だけではないのだそうです。

エントレインメントの1つとして、「添い寝する母子の心拍が同調する」ことがあるそうです。

2つの心臓が出す電磁波が共鳴するのでは?と考えられています。

心臓は迷走神経を通して「大丈夫」を送り、また神経伝達物質アセチルコリンを分泌して脳をなだめます。

添い寝するお母さんの心臓の「大丈夫」に共鳴して、赤ちゃんの興奮した脳が落ち着き、炎症反応も鎮まっていくのでしょうか。

いのちって凄いですね。


添い寝するカップルの心拍も同期するという調査結果もあるようです。

きっと、一緒に音楽を奏でるとき、ダンスを踊るとき、私たちの心臓や脳は共鳴し合っているのだと思います。

星空を見上げるとき、月の満ち欠け、海、寄せ返す波を感じるとき、意識してもしなくても、地球や宇宙の脈動とも共鳴し合っているはずです。



共鳴の解りやすい実験で、音叉を使ったものがあります。

同じ音で鳴る音叉を近くに置いて片方だけ鳴らすと、もう片方も鳴り始めます。

音の高さが異なる音叉では、共鳴は起こりません。

【参考 音叉の共鳴(NHK for School)】


「朱に交われば赤くなる」と言いますが、交わるものによって、人は善くも悪くも感化されるものです。

同じカケラや似た特性に共鳴しがちなのでしょう。

朱はごく微量でも、付着したものをたちまち赤く染めるそうです。

私たちは振動体。

善い影響を与え合えるように努めたいですね。

自分でも気付かないような素敵なカケラが揺り動かされて、一歩踏み出す力になれば素晴らしいことだと思います。

今日もほんわか

~心と体のほんわか手当て~ ケアサロン ほんわか 堤文子ブログ

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