席を譲ると元気になる話
80を越えた私の母は、音楽会や講演会、映画に美術館にと出かけて回るのが大好きです。
あちこち体の痛みや不具合を抱えながらも、特急電車に30 分揺られて福岡天神へ、新型コロナで自粛する前は少なくても週に1度は出かけていました。
ある夜、音楽会が終わって会場から駅まで猛スピードで歩くと、特急が間もなく発車するところ。満員の車内に乗り込むとすぐに扉が閉まったそうです。息の上がった母は、バッグから水を取り出して一口。すると、端に座っていた人が「大丈夫ですかっっっ!?」と慌てて立ち上がって席を譲ってくれたのだそうです。
そのとき母は、小さくて軽くて丈夫だからと、内科で貰ったシロップ薬のボトルに水を入れて持ち歩いていたのでした。
そりゃぁ、白髪のお婆さんがゼィゼィ言いながら薬ボトルで液体を飲んでいたら、発作かしらと心配するかもですね。
席をお譲りくださった方、ありがとうございました。
くたびれ果てた帰り道、やっと座れた電車の席を譲るのはなかなか…。でも、私も経験がありますが、席を譲ると気分爽やか、不思議と元気が湧いてくることがありませんか?
人間は、集団で生き抜いてきた動物。利他的なことをすると、脳から快感物質が出るようになっているそうです。ドーパミンやβ-エンドルフィンなどの脳内神経伝達物質や幸せホルモン=オキシトシンは、ストレスを軽減し、疲労を回復させる働きがあります。だから、席を譲ると元気になるのですね。他人からの称賛の声より、脳内の魔法の薬は何よりのご褒美です。
逆に、お年を召した方が目の前に立っているのに気づきながらも、寝たふりや「スマホ以外は見えません」のスタンスでは、脳は喜ばないでしょう。ますます頭も体も重たくなるかもしれません。
こんなことを書きかけていたら、今日いらしたクライアントさんと、人を褒めるとこちらも嬉しく元気になるよね~というお話になりました。
偽善かな~嘘くさいかな~と躊躇するよりも、「これで私が元気になるんだ!」と思ってでも席を譲ってみる、人を褒めてみるなんてどうでしょう?
脳が喜ぶ選択をたくさん重ねて、今年をよい年にいたしましょう。
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